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炭水化物の栄養とは【後編:食物繊維とは】

皆さん、こんにちは。

Personal Body Management株式会社、栄養アドバイザーの吉村俊亮です。

 

またまた、前回の記事から時間が経ってしまいましたが、前回の記事の続きを書いていきたいと思います。

今回は、炭水化物の一つである食物繊維についての内容になります。

前回の記事では、炭水化物については「糖質と食物繊維の総称」と説明させて頂きました。

前回の記事はこちらから

↓↓

https://www.pbm555.com/blog/12156/

食物繊維に関しては、同じ炭水化物であっても糖質の働きや目的とは大きく異なります。糖質との違いについて知り、より栄養学に興味をもって頂けると幸いです。

 

食物繊維について

炭水化物については、「糖質」と「食物繊維」の総称であると説明していました。

「糖質」は体内の消化酵素によって分解・吸収することができ、エネルギー源になるという特徴がある一方で、「食物繊維」は人の消化酵素では分解できない“難消化性成分の総称”であり、エネルギー源としての働きは小さく、糖質とは異なる性質を持っています。

ただ、エネルギーを全く持っていないわけではなく、種類により0~3kcal/gのエネルギーを持っています。

普段の生活の中では、商品のパッケージなどに記載されている“栄養成分表”から、食物繊維の含有量を知ることができます。

※栄養成分表に関して、以前は糖質と食物繊維を分けず「炭水化物量」と記入されていましたが、近年ではそれぞれの働きが大きく異なることから、「糖質」「食物繊維」とそれぞれ分けて表示されていることが多くなっています。

 

 

食物繊維の働き

食物繊維は、糖質と異なりエネルギー源とはなりにくいものの、消化されにくいという特性から、腸内環境の改善、血糖値や血圧の安定化、コレステロール値の減少、といった腸内環境の維持による体調管理や腸内での吸収・排出に関わり生活習慣病の予防効果といった健康を維持する上で重要な働きがあります。

主な働き

  1. 便の量を増やして便秘を防ぐ
  2. 腸内環境を整える

 

期待できる生活習慣病の予防について

  1. 便と共にナトリウム(食塩の素になるもの)を排泄し、高血圧の予防
  2. 糖の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える
  3. 脂質の吸収を阻害して、脂質異常症や肥満の予防となる

※改善すると断定することはできませんが、期待できる効果とされています。

 

消化・吸収されにくいため、脂肪やグリコーゲン(体内での糖質の形)のように体で貯蓄することができないことから、毎食摂取することが必要な栄養素となっています。

食物繊維のとり過ぎによる健康障害は、ごくまれに便秘や腸閉塞の原因となることがありますが、普段の食生活では起きにくいとされています。

 

 

知っておきたい、食物繊維と“腸内環境”について

特に最近注目されている食物繊維の働きとしては“腸内環境を整える”という点です。

腸内環境には、大きく2つの要素があります。

プロバイオティクス(腸内フローラや腸内細菌叢とも呼ばれる、腸内細菌のこと)

プレバイオティクス(腸内細菌のエサとなるもの)

“プロバイオティクス”は乳酸菌やビフィズス菌といった、人に対して有益に働く善玉菌のことを指します。善玉菌は、腐敗物質の産生や老化といった体に害を与える悪玉菌(ウェルシュ菌や病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌 等)の増殖を防いだり、悪玉菌を便と一緒に体外に排泄する働きがあり、人々の健康維持に深く関わっています。

その“プロバイオティクス(腸内細菌)”は、約100兆から~1000兆個、種類は約1,000種類、重さにすると約1キログラムから2キログラム人の腸内に存在すると言われています。

約1,000種類の腸内細菌にはそれぞれ特徴があり、ビフィズス菌であれば殺菌作用のある酢酸の生成や、大腸粘膜を保護する働きなどがあります。最近では、乳酸菌の一種が、神経系に働きかけストレスを緩和し、睡眠の質の向上に期待ができるといった研究がされており、乳酸菌を多く含む飲料が大注目され、商品が手に入らないほどブームになっていました。

“プレバイオティクス”は食物繊維やオリゴ糖といった栄養素からなるもので、乳酸菌をはじめとした プロバイオティクス(腸内細菌)の“エサ”となることで、腸内に存在する善玉菌の増殖や働きをサポートし、腸内環境と整えるための重要な栄養素として注目されています。

 

 

食物繊維の種類

食物繊維の多い食品には、穀物、いも、豆、野菜、果物、きのこ、海藻などがありますが、水に対する特性の違いから、2つの種類に分けて考えられています。

水に溶けない“不溶性食物繊維”

水に溶ける“水溶性食物繊維”

※一般的にはこれらを合算したものが食物繊維(総)量と表記されています。

同じ食物繊維ではありますが、水に“溶ける・溶けない”で体内での働きも少し異なり、それらを含む食品も少し異なります。

 

 

不溶性食物繊維(水に溶けない食物繊維)の特徴

水には溶けず、水分を吸収し膨らみ、便の容積を増やし(便の素となる)、腸のぜん動運動を促す効果があります。また、便通を良くすることで、悪玉菌を排出し増殖を防ぎます。

 

不溶性食物繊維を含む食品例

りんご・イチゴ・梨・大豆(おからなど含む)・ごぼう・穀類

小麦ふすま・ココア・甲殻類の殻 など


 

水溶性食物繊維(水に溶ける食物繊維)の特徴

ヌルヌルとした粘性と、保水性が高く、水に溶けるとゲル状になる性質があります。

糖分の吸収速度をゆるやかにし、食後の血糖値の急激な上昇を抑制したり、脂肪の吸収を抑え血中コレステロール値を減少、動脈硬化予防などの効果が期待できます。

 

水溶性食物繊維を含む食品例

熟した果物・かぼちゃ・キャベツ・大根、こんにゃく

昆布・わかめ・もずく・めかぶなどの海藻類 など

 

 

1日摂取量の目安について

食物繊維が人々の健康維持・増進、生活習慣病予防に大きく影響することから、厚生労働省からは「日本人の食事摂取基準(2020年版)」にて、1日の摂取目標量を設定しております。

 

男性18~64歳では21g/日以上

女性18~64歳は18g/日以上

厚生労働省が食物繊維の摂取目標量を設定しておりますが、食物繊維の摂取量と主な生活習慣病の発症率、又は死亡率との関連に関して十分なデータがそろっておらず、完全に解明されているわけではありません。(食物繊維と生活習慣病に関連があるということは確かです。)そのため、世界各国の研究論文をまとめたアメリカ・カナダでの食事摂取基準を参考に日本での食物繊維の目標量が設定されています。

アメリカ・カナダの食事摂取基準は、世界各国での研究データから、最も生活習慣病の予防効果が高いとされる1,000kcalあたり14g、または1日24gを食物繊維の目安量として策定されています。

しかし、日本では1970年代から食物繊維の摂取量が減少傾向にあり、アメリカ・カナダの食物繊維の目安量を参考にした14g/1,000kcalまたは1日24gの摂取は現実的でないと判断し、各年代での食物繊維の平均摂取量と平均体重を参照に、性別・年齢別に日本独自の目標量を設定しました。

そのため、厚生労働省が定めている目標量は、各国の研究データから考える理想量よりも少ない値となっているため、目標量にとらわれず、なるべく食物繊維を摂るように心がけることが大切です。

腸の健康のためにも是非意識的に摂取してみて下さい。