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炭水化物の栄養とは【前編:糖質とは】

皆さん、こんにちは。
Personal Body Management株式会社の栄養アドバイザーの吉村俊亮です。

前回の記事から少し時間が経ってしまいましたが、今回は炭水化物についての話を書いていきたいと思います。

前回の記事でも少し触れましたが、「炭水化物」とは1日に摂取するエネルギーの50~65%の割合を占める栄養素です。
人が活動するための主なエネルギー源となる為、きわめて重要な栄養素であり、また体重コントロールにおいても理解しておくべき栄養素の一つとなっています。
今回は炭水化物について掘り下げ、より栄養について興味を持って頂くきっかけになればと思っています。

 

まず初めに、炭水化物は「糖質」と「食物繊維」の総称とされています。
その2つは同じ炭水化物でありながら、主な役割や特性が大きく異なります。
炭水化物は幅広い分野となりますので、「前編:糖質」「後編:食物繊維」と2回に分けそれぞれの特性などを解説してゆきます。

前編:糖質について

「炭水化物」と似たような意味で「糖質」という言葉が使われていますが、栄養についてしっかり勉強している方以外は、上手に使い分けながら話をできる方は少ないかと思います。

初めにも少し触れたように、「炭水化物」とは「糖質」と「食物繊維」の総称です。
つまり、「炭水化物」とい大きなカテゴリーの中に「糖質」や「食物繊維」が含まれています。

「糖質」と「食物繊維」は、人が活動するための主なエネルギー源となるかどうかによって分けて考えられています。
※食物繊維も1gあたり0~3kcalのエネルギーを持っています。

 

糖質   → 体内の消化酵素によって分解・吸収することができ、エネルギー源となる。

食物繊維 → 人の消化酵素では分解できず、腸内細菌によって発酵・分解され一部が吸収される。

 

主にカロリーなど人体のエネルギーに関与する文献では、炭水化物ではなく「糖質」として記載されていることがほとんどで、また市販の食品の栄養成分表に関しても「炭水化物量」だけではなく、「糖質」「食物繊維」とそれぞれ分けて表示されていることが多くなっています。

栄養成分表示 カロリー,ダイエット,成分の写真素材

 

 

糖質について

糖質の主な働きとしては、人が活動するための主なエネルギー源となることです。

一般的に1日に必要な総エネルギー量の50~65%を糖質から摂取しています。
※たんぱく質は全体の13~20%、脂質は全体の20~30%程度です。

例えば、1日に2,000kcal必要な人であれば1,000~1,300kcalを糖質で補っているため、生命を維持する上で非常に重要な栄養素であり、さらに体重のコントロールにおいても糖質の管理がポイントとなります。

 

糖質は体内に取り込まれると、1gあたり4kcalのエネルギーになるとされています。
特に脳では血液中の糖質(ブドウ糖)が主なエネルギー源となるため、極端に糖質が不足すると意識障害などが起こります。

 (※通常人の身体では、肝臓や筋肉、細胞に蓄えているたんぱく質や脂質から糖を作りだす機能がある為、低血糖は起こりにくいですが、インスリン治療を行っている方や肝臓に疾患がある場合などで重篤な低血糖になることがあります。)

しかし、糖質は摂りすぎても健康の妨げになる場合もあるので注意が必要です。

 

糖質過多→肥満や生活習慣病のリスクが増加する

糖質不足→体力低下や疲労蓄積の原因となる

 

糖質を多く含む食品には下記のものがあります。

食品例)ご飯、パン、めん、いも、果物、砂糖、はちみつ、小麦粉、オートミールなどを使った食品も糖質を含みます。

 

1日の摂取量に関しては、1日に2,000kcal必要な人で250~325g糖質から摂取します。

(全体のエネルギー量の50~65%にあたる1,000~1,300kcal程度≒250~325gの糖質)

また、脳は1日に120gの糖質(ブドウ糖)を消費すると言われており、ダイエットや血糖値の改善のため低糖質の食事療法を行うこともありますが、1日に摂取する糖質量が120gを下回らないことが一つの目安になります。
糖質120gはおにぎり3個分に相当するため、食事制限においても、朝昼夕で毎食茶碗1杯分のご飯(米飯)を食べることが推奨されます。

また、たんぱく質や脂質と同じく、活動に必要なエネルギー源となる糖質には特徴があります。
それは、“脂質やたんぱく質と比べると糖質の方がエネルギー源としてすばやく使える”という点です。

・400mや800mの中距離走のように”短時間“の運動では糖質を原料としたエネルギーが使われやすい

・フルマラソンやトライアスロンなど”中~長時間”の運動では脂質を原料としたエネルギーが使われやすい

 ※どのような活動においても、糖質・脂質・たんぱく質をエネルギー源として複合的に利用されています。
  あくまで主に利用される割合の違いになります。

このように、活動する時間に応じて、エネルギーとして使われる原料が異なり、特に糖質は短時間の運動に適したエネルギー源になります。

 

体内での貯蔵について

短時間での活動のエネルギー源となる糖質は、体内での存在量は意外に少なく、血液中にあるブドウ糖のほか、肝臓や筋肉にグリコーゲン(体内での糖分の保存形態・糖の塊のようなもの)として少量を貯蔵しています。

一般的な活動している人であれば、数時間から半日で枯渇してしまう量しか蓄えられていません。
その為、人が活動するためには、定期的な糖分の補給が必須となってきます。

ただ、すぐ使うエネルギー以上に糖質を摂取した場合には、体内で脂肪として蓄積されるため、注意が必要になります。

 

糖質の分類

糖質には、更に糖(単糖類)が連なる長さによって分類が異なります。

 

糖類、二糖類→ブドウ糖と果糖

多糖類→糖アルコール、合成・天然甘味料

 

糖の最小の単位で「糖類」と呼ばれる、「単糖類」「二糖類」が複数に連なることで、「糖質≒多糖類」を構築しています。
普段生活の中で、「糖質ゼロ」や「糖類ゼロ」という言葉を目にすることがありますが、上の図から考えると、

糖質ゼロ≒多糖類も糖アルコールも単糖類も二糖類も使わない

糖類ゼロ≒単糖類と二糖類は使っていないが、糖アルコールは使える

という違いがあることに気づきます。
また、「ゼロ」という表記は、100ml(or 100g)あたり0.5g未満という規定があるので、必ずしも「糖質ゼロ=0kcal」ではなく、たとえ糖質からのエネルギーが0kcalであってもたんぱく質や脂質でのカロリーがあるため、ダイエット中は「糖質ゼロ」や「糖類ゼロ」に騙されない様に注意が必要です。

 

炭水化物・多糖類・二糖類・単糖類による吸収に違い

人の体では、「単糖類」といった最小である糖の状態で吸収することができます。
そのため、それらが連なっている多糖類の場合は、連なる単糖が多いほど単糖類に消化するために吸収までの時間がかかるといった特徴があります。

最初の方で、「糖質はエネルギー源として素早く使われる」と言いましたが、厳密には単糖類における消化・吸収が最も早く、エネルギー源として素早く使われるというものが正しい認識となります。

糖質の状態に応じて消化・吸収にかかる時間の違いから、運動の3~4時間前は吸収する時間を考慮しておにぎりやうどん(炭水化物・多糖類の食品)を食べる、または運動中はエネルギーが枯渇しない様に、吸収の早い単糖類多いスポーツドリンクを利用するといった、運動のタイミングでいつエネルギーが必要かを考えた時に、糖質の種類を選択できるようになれば、糖質の理解として十分かと思います。

 

今回の記事で、糖質がただ単にエネルギー源として使われるわけではなく、同じ糖質であっても、単糖類や二糖類、多糖類といった構造の違いがあることや、それによる消化・吸収の差、更に「糖質ゼロ」や「糖類ゼロ」についての理解を深めて頂けたら幸いです。

 

今回は、炭水化物である「糖質」についての内容でした。
次回は、主にエネルギー源とはならない「食物繊維」の働きや特徴について書いていきますので、ぜひお時間のある際に読んで頂ければ幸いです。