皆さん、こんにちは。
Personal Body Management株式会社 栄養アドバイザーの吉村俊亮です。
コロナも少し落ち着いてきたと思ったら、東京では雲行きが怪しくなってきていますね。
コロナ対策をしっかりして、日常を楽しみながら生活をしたいですね。
さてさて、今回の記事は【骨粗鬆症】についての記事になります。
少し長くなりますが、お付き合いいただけると幸いです。
- 骨粗鬆症とは
- WHO(世界保健機関)では、「骨粗鬆症は低骨量と骨細胞の微細構造の以上を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義しており、骨折の危険性が増大する疾患であると言っています。
- また、頻発する部位として、椎体・前腕部・大腿骨近位部になります。
- 日常生活を送っているだけで骨が折れたり、転倒による大腿部の骨折が原因で寝たきりになる高齢者も少なくありません。
- 健康な生活を送るために、予防しなければいけない疾患の一つになります。
- 骨を形成する栄養素
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骨を形成している栄養素で代表的なものにカルシウムがあります。しかし、カルシウムだけでは骨は作られておらず、他の無機物であるリン酸やマグネシウム、カリウムなども少量ではありますが、骨の材料になっています。また、有機物であるコラーゲンも骨の礎になっており、とても大切な栄養素になります。
これらの栄養素をもとに、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成というリモデリングが繰り返され、骨は形成されています。
これらのリモデリングは体内で厳密に調整されていますが、加齢に伴い骨形成よりも骨吸収のほうが大きくなり、骨量の低下を招きます。
そのため、若い時期に適切な食事と運動をおこなうことで最大骨量(ピーク・ボーン・マス)を高めておくことが予防として大切になります。
- 運動とエストロゲン
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適切な運動は骨に適度なストレスを与え、リモデリングが促進され、骨密度の上昇に役立ちます。しかし、女性ホルモンであるエストロゲンが何らかの原因で分泌低下している状態で激しい運動をおこなうと骨粗鬆症などのマイナスの影響を及ぼします。
- 大切なのは栄養素だけではない
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骨について考えるときに大切なのは、上記にも記載している通り、「食事」と「運動」です。
骨粗鬆症などの予防で一般的に言われるのは、カルシウムの吸収と排出についての話ですが、それ以前に大前提として『摂取エネルギー量が足りているのか』がとても大切になります。
最近では、女性アスリートの三主徴ということがよく言われるようになり、摂食障害の有無に関わらず利用できるエネルギーの不足が骨粗鬆症に繋がるということが言われるようになりました。
ちなみに、『女性アスリート』という名前が付いていますが、利用できるエネルギーの不足がある場合、一般の男性や女性にも当てはまります。男性には月経がない分、女性よりもリスクは少しだけ低くはなります。
摂取エネルギー量が足りていないと、生命を維持するためのエネルギーが足りなくなっていき、骨のリモデリングに費やすエネルギーをカットしていこうとするため、骨粗鬆症のリスクが高まります。
運動をしているから骨は丈夫になるというのは間違いで、運動で消費した分のエネルギーもしっかりと摂取し、一日に必要なエネルギー量を摂取することで骨が丈夫になります。
スポーツ選手であっても一般の人であっても、同じことが起きてしまうので、気を付けたいポイントになります。
また、閉経後の女性の場合もエストロゲンの分泌低下と激しい運動の組み合わせが骨にマイナスの影響を与えてしまうため、より骨粗鬆症のリスクを高めてしまいます。
- エネルギー不足が考えられる人へのアプローチ
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栄養調査をおこない、サポートをおこなう中で、エネルギー不足が考えられる方はこれまで多く見てきました。
対象の方の目的が増量であれば、少ないエネルギー摂取量を増やせば良いので問題はありません。
しかし、目的が体重の維持や減量になってくると、少し難しくなってきます。
骨粗鬆症のリスクを上げてしまうからといって、一旦正常なエネルギー摂取量まで上げてしまうと、その方の体重は増えてしまいます。
例えば、本来2000kcal必要な選手が長期間1200kcalしか摂っていなかったとして、この方は体重が減り続けるということはなく、最初は減ってしまいますが途中から体重減少が止まります。
それは、1200kcalで生命活動をおこなうための代謝に体が適応するからです。
一度このように適応してしまうと、急に2000kcalにエネルギー摂取量を戻したときに、代謝的には+800kcal余分なエネルギーを摂取してしまっていることになります。
そして、体重が増えていってしまいます。
かと言って、そういった方の減量を進めるために、さらに摂取エネルギー量を減らせば、高確率でその方の骨の状態は悪くなります。
では、どのようにすれば良いかというと、ごく少量ずつ摂取エネルギーを増やしていくことがポイントになってきます。
例えば、1週目は朝食だけ今よりも米1口分だけ食事量を増やし、2週目は朝食と昼食をそれぞれ米1口分ずつ増やすようにします。
そうすると、米1口は約20kcal程度になるので、1日あたり下記の図のように摂取エネルギー量が増えていきます。
このようにして、長い時間をかけながら摂取エネルギー量を増やすことで、リバウンドをさせずに身体の機能を正常に近づけていくことができます。
この方法を用いる場合は、毎日体重を量って体重の変動を常にモニタリングする必要があります。
食べても太らないということをその方に認識してもらう意味とエネルギー摂取量の増加スピードが速すぎないかをチェックする意味があります。
- まとめ
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骨粗鬆症の予防では、カルシウムの摂取と排出に注目されがちですが、カルシウムのことを考えるのは、摂取エネルギー量が足りていることが大前提になっています。
まずは、しっかりエネルギーを摂っているのかということを確認することが大切ですので、そういった方をサポートする場合は、カウンセリング時にそのあたりを意識して聞き取っていただくと、今までとは違ったサポートができるかもしれません。
今回の内容は、少し長めになってしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。