福岡市のパーソナルトレーニングジム、Personal Body Management パーソナルトレーナーの中村治人です。
秋らしい天気になってきましたね。運動をスタートするには良い季節にました。
ロコモティブシンドロームという言葉をご存じでしょうか?PBMは開業当初からロコモを改善するならばパーソナルトレーニングがオススメとお伝えしてきました。パーソナルトレーニングは今となっては、高額なダイエットを行うジムというイメージが強いかもしれません。パーソナルトレーニング=ダイエットはしばらくの間定着し続けるでしょう。しかし、ロコモを予防するためにもパーソナルトレーニングがオススメです。ロコモを予防するためには運動が必要です。その運動が本当に処方薬のような効果を期待できる運動なのか?その部分に触れてみたいと思います。
そして、このコロナ禍において運動器にどのような影響が起こるのか。コロナ太り、在宅ワーク、リモート、コロナ禍の中で子供から高齢者までロコモに可能性が高まっています。数年後の未来に向けて今できることを考えていきましょう。
コロナ禍のロコモティブシンドローム
ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態を 「ロコモティブシンドローム」=ロコモといいます。ロコモティブシンドロームは「locomotion :移動」+「syndrome:症候群」のからできた造語です。ロコモはその略称になります。
重度の状態になると身体を起こすことだけでも難しくなったり、関節に痛みををともなうことがあります。日常生活へ大きな支障をきたしてしまうことになり、人の手を借りなければならない状態になってしまいます。
このロコモがコロナ禍の煽りを受け、より一層脅威となってきているようで日本整形外科学会でも警鐘を鳴らしています。ステイホームにより私たちの運動の時間が減少してしまいました。
「スポーツ庁 令和3年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果(概要)について」 より
コロナ禍で子供たちの体力が減少!?
スポーツ庁で毎年行っている体力テストの合計点がコロナ禍に入り、男性女性問わず減少傾向が続いています。
▶小中学生の体力テスト合計点推移(令和1年~令和3年)
R1 | R2 | R3 | 差 | |
男子小学生 | 54.2 | 53.6 | 52.5 | -1.7 |
女子小学生 | 55.9 | 55.6 | 54.7 | -1.2 |
男子中学生 | 42.2 | 41.6 | 41.1 | -1.1 |
女子中学生 | 50.4 | 50.0 | 48.4 | -2.0 |
▶低下の主な要因
①運動の時間の減少
②学習以外のスクリーンタイムの増加
③肥満である児童生徒の増加
前提としてこれらの要因があった上に、新型コロナウイルスの影響を受け、さらに拍車がかかったと思われる。また、体育の授業以外の体力向上の取り組みが減少したことが考えられる。
あくまで子供たちのデータではありますが、大人にも影響があることは想像するに難しくありません。昨今では大人の活動量の低下は問題とされています。そういった背景もありロコモティブシンドロームのような考え方ができました。また、寿命は徐々にではありますが伸びてきています。いかに体力を維持し続けられるかどうか(健康寿命の延伸)が重要です。
・要支援、要介護になってしまった原因
(https://locomo-joa.jp/locomo/#section05 より引用)
介護生活の原因となるロコモティブシンドローム
日本の平均寿命は80歳に達しており、運動器に様々な問題を抱え介護が必要となる人口は増加傾向です。平均寿命は年々伸び続けており、運動器の健康を保つことが私たち一人ひとりに求められてきています。
介護生活になってしまう原因の多くは、「転倒」「骨折」「関節の痛み」などがよくあげられています。つまり、運動器の問題です。
ロコモティブシンドロームは、そういった状況にならないように、未然に防ぎ、早い段階から予防に努めることができるようにという考えのもとつくられたものです。昨今のメディアを見ていると、国全体の健康への意識は高まってきているように思えます。人生100年時代と言われる現代において、人生をより豊かにするために、正しくロコモ予防を行うことが大切なことだと思います。
※運動器とは、身体運動に関わる、筋肉、関節、神経などの総称
ロコモ度をチェックしてみましょう
自分がもしかしたら自分がロコモかもしれない…
そういった方へ「ロコチェック」を使って簡単にご自身状態を確認できます。
ロコチェック
ひっかかった項目はチェック☑しておきましょう
- 片足で靴下が履けない
- 家の中でつまづいたり滑ったりする
- 階段を上るのに手すりが必要である
- 家のやや重い仕事が困難である(掃除機、布団の上げ下ろし)
- 2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1Lの牛乳パック2個程度)
- 15分くらい続けて歩くことができない
- 横断歩道を青信号で渡りきれない
上記の項目で、1つでも当てはまればロコモティブシンドロームの可能性があります。可能であれば今すぐにでも運動をスタートすべき状況です。。
このチェックは日本整形外科学会が運営する、ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト「ロコモONLINE」(https://locomo-joa.jp/)内にあるものです。ご存じの方も多いのではないかと思います。ひざ痛=ロコモ、腰痛=ロコモと、考えている方も入りかもしれませんが、ロコモは様々な疾病につながる可能性を秘めている状態です。事前にロコモ予防することが目的であり、ロコモになってから治療を開始するための目安ではありあません。日常生活で問題が起きているのであれば、予防が困難になる前に早めに出来ることから始めていきましょう。
ロコモの詳細はこちら
また、昨今はコロナの影響で運動量により、ロコモやフレイルを助長するだけでなく、認知症の進行を早める可能性もあります。さらに、運動の機会が減少することで、筋肉量が低下→疲れやすい→足腰が痛みやすい→動きたくないなど、悪循環に陥る環境ができています。
ロコモティブシンドロームを改善するためには運動をしよう!
ロコモティブシンドロームを予防改善するには運動が必要不可欠です。なぜなら、関節の運動(=自らの意思で筋肉が収縮し、複数の関節に連続的に運動がおこること)の問題は運動でしか改善できないからです。筋肉や関節の部分的な問題は治療院や整骨院で問題を解決できますが、運動(=歩く、持つなど)の問題は運動施設で改善するのが一番効率的です。
しかしながら、ロコモの改善となったときに、痛みの改善=ロコモの改善というイメージになりがちではないでしょうか。大事なことは痛みがとれて、運動の回復や移動能力の維持向上です。
とはいえ、スタートの段階で痛みが強くては運動が出来ないのも事実です。実際、お客様の運動を始めるきっかけになる理由の中で多いのは、
☑ひざ痛
☑腰痛
☑肩痛/肩こり
☑減量
です。身体に問題が生じ、その危機感から運動を始めようとする方が多いようです。
そうなる前に始めていれば…と思う方も少なくないでしょう…
危機的な状況の中でこのうような身体の問題を改善する受け皿としては、総合型のフィットネスクラブやジムがあります。総合型の全国展開している大手のフィットネスクラブは、運動の種類がとても多く、初心者の方からベテランの方まで多くの層を受け入れができています。私たちパーソナルトレーニングジムと比較をしてもコストパフォーマンスが良いと感じる方もいらっしゃると思います。
しかし、現状として大多数のお客様を管理するフィットネスクラブでも問題はあります。これは私の経験上の話ですが、管理する人数が多すぎて、お客様一人一人に対してトレーニングを正確にご案内することが難しいところがあります。
トレーナーの質という問題も当然ございますが、お客様の個人情報を瞬時に現場で監視しているトレーナーまで伝えることができず、トレーニングを行う際の禁忌や体調の把握などの情報の共有が不足していました。結果として、状態を悪化させてしまうトレーニングを案内してしまう失敗をしてしまったり、思うようにサポートができず…継続することが重要である運動療法において、数カ月で退会されてしまうという経験もたくさんしてきました。お客様からしても、回数をこなすとだんだんトレーニングには慣れてきますが、どのようにトレーニングを発展させていくべきかわからなくなったりしていました。
病院や医師からはジムやフィットネスクラブで運動をするように勧められるものの、ロコモのような身体に問題があるお客様に対して、自分(フィットネスクラブ)がうまくご案内できていない(役割を果たせていない)なと感じました。人の身体は十人十色です。例え、体格と筋肉量が同じの二人が、同じ質と量のトレーニングをこなしたとしても、性格や感性の違いから、トレーニングの効果は変わります。腰痛やひざ痛を抱えた状態の多いロコモティブシンドロームを改善させるには、一人一人の身体に合わせた運動と運動を正確にご案内することが重要だと考えます。
脱ロコモティブシンドロームにはパーソナルトレーニングがおすすめ
ロコモティブシンドロームの改善方法が数多ある中で、私はパーソナルトレーニングをお勧めいたします。上記でも軽く触れましたが、人の身体十人十色です。動きのクセ、身体の状態によって運動の内容を変える必要があり、それができるのがパーソナルトレーニングです。
実際になられた方はわかると思いますが、腰痛など、痛みの出方は日によって変わります。なのでトレーニングも日によって種目を変えたり、強度を変えることが必要なってくるのです。そのうえで、中長期的には、トレーニングの底上げやレベルアップを行うことで運動器の維持向上につながっていきます。
短期的目標…疼痛のコントロール、トレーニングの消化と運動量の向上
中長期的目標…運動器の維持向上、トレーニング内容のレベルアップ
例えば、腰痛は腹筋と背筋のバランスを整えることが大事と一般的にはいいますが、腰痛の出方にも①前屈をしたときに痛みが出る②後屈をしたときに痛みが出る③足をあげたときに痛みが出る④立っているだけでも痛みが出る⑤歩くときに痛みが出るなどざっといろいろな状況があります。上記の①のパターンの時に、背中を丸めるような腹筋は本当に出来るのでしょうか。
このようなケースでパーソナルトレーニングであれば、まずは脊柱起立筋群や腰背部の筋や筋膜を緩めて、脊柱を丸めやすい状態をつくってトレーニングを行うこともできます。体調やその日の調子によって身体の感覚は変わります。その場で臨機応変に対応し、トレーニング効果を正しく引き出すことができます。なので、ロコモティブシンドロームの予防改善においてはパーソナルトレーニングが最適だと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
(参考文献)
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/locomotive-syndrome/about.html
https://locomo-joa.jp/locomo/
https://www.mext.go.jp/sports/content/20211222-spt_sseisaku02-000019583_111.pdf