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健康長寿社会における運動指導者の使命 ⑥

福岡市南区のパーソナルトレーニングスペース
Personal Body Management
提携トレーナー兼管理栄養士の吉村俊亮です(^^)

 

 

このシリーズでは、僕が保有しているパーソナルトレーナーの資格であるNSCAジャパンの顧問をされている寛仁親王妃信子殿下『第2回NSCAジャパン・日本健康運動指導士会 合同学術大会』でのスピーチをご紹介していきます。

シリーズひとつひとつが長文になりますが、貴重なお話なのでよろしければご一読ください。

このシリーズは⑮まで更新予定です。

 

 

以下 Strength & Conditioning Journal(vol21,number5,june2014)から引用

 

 

健康的に歳を重ねるために

~健康長寿社会における運動指導者の使命~

 

クライアントのやる気を高めるのは指導者への信頼感

 

 

私とトレーナーとの出会いは本当に劇的なものでした。回復をあきらめ、メンタル的にも危険な状態とトレーナーが案じて頂いて、痛みにおいては車椅子生活を覚悟した時代も正直御座いました。身体を作る、ねじれ・ゆがみ・筋肉の衰えやメンタル面を改善するといったことも考えるゆとりがありませんでした。ストレス性喘息の発作もあわせ持っておりましたので冷静ではなかったとその当時を思い出します。

左側を痛めたら左側の運動をしなさいというような誤った指導が昔はありましたが、その誤った思い込みを正し、左右のバランスを整えながら運動することの重要性を学べてよかったと思います。指導者から習って、一部分だけを鍛えればよいのではないということが心から理解できました。

2年前骨折したことがあります。脛骨骨折でした。医師に「もし更年期治療をなさっていなければ粉砕骨折になっていました」と指摘もされました。粉砕骨折にならずにすんだのも、また手術をしないで、ギブスと装具だけで乗り越えられたのも幸福だったと思います。ある程度の体力がついていたことと骨が脆くなっていなかったこととも、私にとっての大きな救いであり力でした。

骨折して感じたのは、専門医の先生には大変失礼かもしれませんが、骨折した場合、医師は現場監督だと感じたことでした。手術をする、ギブスを巻く、装具をつけるという現場監督で、その後は、ここに参加していらっしゃる皆様のトレーナー・指導者のお力が必要不可欠だとも思いました。どうぞ力になって差し上げて下さい。

もちろん、理学療法士の方々もいらっしゃいます。その周囲の皆様方がいらっしゃることは日本人にとって大きな助けです。怪我をした一部のリハビリになりがちで、「足を曲げるようにしましょう」「膝を曲げるようにしましょう」「可動域をもう少し広げましょう」という怪我の部分を取り上げがちですが、ここで本当に重要なのは、全身のバランスをどう保つか、落ちてしまった筋肉や曲がらない片方の足をどうやって左右のバランスを見ながら治すかというクライアントの方の身体全体を見た運動指導です。

私は、骨折して2週間目からトレーニングを始めました。装具がつくようになりましたので、装具を外して行いました。寝たきりのトレーニングではありましたけれども、トレーナーの方が上手に導いてくださり、「両腕片足の3点は何の問題もないので、問題ない個所は動かしましょう」「骨折については、少しずつ自分がケアーをしていきますのでご安心ください」ということでしたので、装具を外すのが怖いとはまったく感じたことはありませんでした。「トレーナーに任せたら私は治る。復帰も早い」と信じる信頼関係もありました。

正座ができるようになるまでは時間はかかりましたが、トレーナーの一言が救いでした。「今正座する必要性がありますか?」という言葉でした。「そんなに正座を急ぎますか?」とも尋ねられました。椅子があるので急いで正座をする必要がなかったのです。

優れたトレーニングの知識をたくさん持ちながらも、押しつけることがありませんでした。そして、決して自分のレベルに満足することがなく、何時も何処かで勉強会に出て、海外で知見を深め勉強しておられます。何か新しい知識や方法を手に入れたら、それを自分のポケットに入れておいて、私に必要だと思った時に、その“ドラえもんのポケット”から一つ一つ出してくださるのです。一度にまとめて出てくるのではなく、今日は一つ、来週は一つ、というような形で、私のスキルを上げていってくれました。最初に「これをやらなければトレーニングではありません」ということは一度も言われたことがありません。そのお陰で、ステップ・バイ・ステップで上がってくることができ、トレーニングを自分のものとして身につけることができたのだと思います。一番有り難かったのはそのトレーナーとの間に絶大なる信頼関係を持てたことです。

 

 

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